1 持戻し免除の意思表示の推定規定(903条4項)
(1) 要件
①婚姻期間が20年以上であること
②居住不動産の贈与又は遺贈があること
(2) 効果
持戻し計算の免除
当該居住不動産の価格を特別受益として扱わない
2 遺産分割前における預貯金の払戻し(900条の2)
(1)払戻し可能な額
計算式(同一の金融機関では150万円が限度)
単独で払戻しを請求できる額=(相続開始時の預貯金債権の額)×(1/3)×(払戻しを求める共同相続人の法定相続分)
→この部分については、家庭裁判所の判断を得ないで単独で権利行使できる
→個々の預貯金債権ごとに判断する(同一の金融機関では150万円が限度)
→基準時は「相続開始の時」
(2)効果
権利行使された預貯金債権については、その権利を行使をした共同相続人が遺産の一部分割によりこれを取得したものみなされる。
3 一部分割(907条)
①共同相続人間の協議により、遺産の一部について分割することができることを明文化
②①の協議が調わないとき、又は協議することができないときは、各共同相続人は、他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合を除き、家庭裁判所に対して、遺産の一部につき分割をするよう請求できる